血液中に含まれる尿酸の濃度に関しては、尿酸値として数値化されています。この血清尿酸値が7.0mg/dL以上と判定されると高尿酸血症と診断されます。男性の患者様が圧倒的に多いのも特徴で、30代男性の3割程度の方が高尿酸血症を発症しているのではないかと言われています。
尿酸値が常に高い状態になると、元々水に溶けにくい尿酸は、尿酸塩となって結晶化していきます。これが関節に溜まるなどすると、異物と認識した白血球が攻撃し始めます。その際に炎症物質を放出するなどして、患部は腫れ、さらに強い痛みに襲われることがあります。これを痛風発作と言います。
痛風発作は、発症から24時間をピークに徐々に症状は緩和していき、1週間が経過する頃には治まるようになります。ただ尿酸値を下げる治療を行わなければ、再び痛風に襲われるようになります。なお関節であればどの部位でも発症の可能はありますが、大半は足の親指の付け根でみられますが、足関節、足の甲、膝などの関節で起きることもあります。
また痛風以外にも、尿酸の数値が高いままであれば、尿路結石や腎障害(痛風腎)のほか、動脈硬化を促進させやすくなるので、心筋梗塞や脳血管障害(脳梗塞 等)などの発症リスクも高くなります。
なお尿酸が体内(血液中)で増える原因は、主に3つあります。ひとつは、尿酸が体内で過剰に作られてしまう尿酸産生過剰型です。この場合、尿酸の元となるプリン体を多く含む食品(レバー、魚の干物 等)を過剰に摂取している、白血病、悪性リンパ腫などの造血器疾患を発症している等が挙げられます。二つ目は、尿酸排泄低下型です。これは尿酸が体外へうまく排泄できないことで体内において尿酸が増えるタイプです。原因は、遺伝的要因や体質といったことのほか、腎臓の機能低下などが考えられます。3つ目は、上記2つのタイプが両方みられる混合型です。このケースは肥満の方によく見受けられます。
治療について
まずは生活習慣の改善からになります。食事面では、プリン体を多く含む食品や高脂肪食は避けます。またアルコール飲料も尿酸値を上昇させるので、お酒を飲む方は節酒してください。また肥満も尿酸値が上がる原因になります。理想とされる適正体重はBMI25未満となっていますので、その数値を目標に減量していきます。そのためには食事療法だけでなく、運動療法も取り入れます。運動量はハードなものは必要とせず、無理をしない程度で十分としています。息が弾む程度の有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング 等)を1日30分以上行うことで効果があるとされていますが、日常生活の中で1日に歩く歩数を少しでも増やすなどの可能な範囲で継続的に取り組むことが何より大切です。
日頃の生活習慣を見直しても尿酸値が下がらないとなれば薬物療法も追加します。なお高尿酸血症のタイプによって使用されるお薬は異なります。尿酸排泄低下型の患者様では、尿酸の排泄を促進させる薬(ドチヌラド、ベンズブロマロン、プロベネシド)が用いられます。また尿酸産生過剰型の患者様は、尿酸の生成を抑制させる効果がある薬(フェブキソスタット、アロプリノール)を使用します。
なお痛風発作がある場合は、炎症や痛みを抑える効果のある薬物療法(コルヒチン、NSAIDs 等)が行われます。痛風の症状が治まったら、再発予防のために尿酸値を下げる薬物療法(尿酸排泄促進薬、尿酸生成抑制薬)を行います。